×アルバーン戦記〜4つの月〜 オヴェリアの章‐2‐


 一三00年代初頭、のどかなアルバーン王国は、アルガネス王国の一方的な侵略戦争によって滅んだ。アルガネス政立から数年経ったある日のことだった。今のアルガネスは、当時のアルバーンと基本的に替わらない。そんな中、彼、いや彼女は……戦っていた。

「―ッたくもう!特徴のない特徴ばっかしやがって!!」

 言葉がおかしい。

 真っ黒なサムエ、襟足までの短い髪、黒の目隠し、肘から指先、膝から爪先にかけては晒しを巻いてある。そんな奇妙な格好の男(?)が十人、二十人、三十人と居るのだから彼女が嘆きたくなるのも分かるであろう。
 袖口の広がった白いはおり。右手には金の柄を持つ銀色の剣を持っており、左には、革の柄の短刀を持つ。

 ザッ!

「ウッワ。目隠ししてやがんのになんでこんな強いんだよっ!!」

 白い帯びを翻し、叫ぶ。後頭部で結ってあった髪が解け、数本地に落ちる。

「…………テッメェ!!」

 余程頭に血が昇ったらしい。赤い玉を懐から探り出し叫んだ。

「我が手の内より出でよ、赤い鳥!」

 なんとも言い表せない轟音が響き、火柱が立った。目隠しの男たちは消え、崖も半分消えかけていた。
 一瞬間を置いて言う。

「…崖っ淵で…よかった…」

 ふと、口元に右手をやった。

「あれ…キグナス…どこやっちゃったんだろ…?」


 彼女の名前は、オヴェリア=ケヴェス。




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